越後北端の城下町の独特な食文化
下越村上の鮭を堪能する
新潟駅から羽越線で北に向かい、約1時間。
村上市は山形県と接する新潟県北端の市。
かつてここは村上藩の城下町で、
その面影は歴史ある寺や町屋の並ぶ町並みに、今も残っている。
市街を三面川が流れる。鮭の溯上で知られる川で、
日本最初の鮭の人工孵化場ができたのもこの川沿い。
明治の初めのことである。
村上の人々と鮭の付き合いは長く濃密で、
独特の鮭料理の文化を築いてきた。
代表的なものが塩引き鮭だ。
捕れた鮭を塩にI週間ほど漬け、
身にしっかり染み込んだところで半日ほどかけて洗い流す。
そして秋から冬の乾燥した風に晒して自然に熟成されるのである。
「今は少なくなりましたが、
まだ家庭で塩引き鮭をつくる人がいますよ。
干す日数を長くすれば乾燥が進む。
短ければ生の風味が残る。
家庭それぞれに干し方があるんですね。
短く干すのも、長く干すのも楽しむ人が村上には多いかもしれない。
それほど、鮭との付き合いが深いんですね」
とは、『割烹吉源』の6代目当主、吉田昭一郎さん(58歳)。
吉田さんの店は、江戸時代後期に城下に創業した。
180年の歴史を持つ。
村上の鮭料理を存分に堪能できる。
自家製の塩引き鮭は、2か月ほど干したもの。
村上ではやや干すほう。
熟成して、まろやかな塩加減だった。
創業200年という村上随一の歴史を持つ塩引き鮭専門店『うおや』に新築されだ乾燥場。
天井と4面の壁から自然の風が吹き込むつくりだ。
春は城下町にひな人形が並ぶ
取材ありがとうございました。