県内各地の伝統料理
年取り魚 個性多彩
食の宝庫・新潟は冬の味覚もまた楽しい。
特に新年を迎える「年夜のごっつお(ごちそう)」は
県内各地域の個性が表れて、興味深い。
「年取りの魚」を中心に各地の味を巡り、代こ表的な食を訪ねた。
併わせて、県内の食文化に詳しい県立女子短期大学名誉教受の
本間伸夫さんに年夜のごちそうの特徴を語ってもらい、
料理研発家の小林瑠美子さんには伝満料理と新しい年夜の料理を紹介してもらった。
冬の味覚として食される鮭。
特に県北の村上市では「魚の中の魚」
という意味を込めて鮭をイヨボヤと呼び、
かつては家々の軒先に塩引きにされた鮭がつるされるのが、
冬の風物詩になっていた。
三面川が日本海に注ぐ村上には冬のこの時季、
湿気を帯びた冷たい風が吹きつける。
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塩引き鮭は熟成も大切だが、塩加減も重要になる。
鮮魚店「うおや」=同市大町=の上村八惠子さん(77)は
稼いだ20歳から店頭に立ち、この道57年になる大ベテラン
「鮭は味が勝負。いい塩梅にしなければならない」
鮭に塩を擦り込んで浸透させた後、丁寧に塩出し。
「おいしくなれって心を込めて作るんさ」と話す作業は
立ちっばなしの重労働。
「脚が言うことを聞かなくなっても、お客さんの笑顔が楽しみ」。
昨年、新築した店の向かいの作業場で塩引き鮭を作り続ける。
ずらりとつり下げられた塩引き鮭。
塩加減と熟成が味の決め手だ
=村上市大町の「うおや」