鮭熟成まで丁寧に
静かに そして優しく真 っ白な塩をサケにすり込ん でいく。「種も仕掛けもな いんだけど、心だけ込めて作ってるんさ」と上村八惠子さん(七一)が顔を上げて笑 った。
夫の正弥さん(七八)と営む鮮魚店「うおや」村上市大町=では、年間三千匹のサケを加工。そのうち二千五百匹もの鮭が、塩引きにされる。 魚の仕入れは夫の仕事。
「出荷するのは私の役目だけど、お父さんの魚を見る目がなきゃ、おいしい塩引きはできないよ」と八惠子さんが見つめる先で、正弥さんは少し照れたようにほほ笑んだ。
同市では 「 止め腹 」 と呼はれ、腹を真一文字に割かずに一カ所つないだ塩引きが一般的。しかし八惠子さんが作る鮭の塩引きはきれいに割いてある。「こっちの方ががサケの乾きがいいような気がするんさ」と八惠子さん。
塩をすり込み十分に侵透させた後、丁寧に塩抜き。さらに、軒や梁に尾からつるし、熟成させる。その光景は「サケの町・村上」に年の瀬が迫ったことを知らせてくれる。
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問い合わせは「うおや」、0254(52)3056。
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