月刊一個人 日本全国旨い肴で「鮭の酒びたし」が紹介されました
「酒とつまみ」創刊編集長 大竹聡さんおすすめ
選び抜かれた”塩引き鮭”を更に半年間かけて作る
越後村上うおや/新潟県 「鮭の酒びたし」
酒びたりの私がハマった酒びたし
酒の味などまったく知らない子供のころすでに、鮭の切り身はとびきり塩辛いのが好きだった。
細くなった切り身の先っぽの脂ののったあたりに、網で焼いていく間にも塩が吹きだしてくる。
そんな切り身を白飯にのせれば、朝から茶碗3杯は食えた。
やがて子供はオジサンになり、飯をあまり食べない代わりに酒をたくさん飲むようになったが、
鮭の切り身は塩辛いほうが良いという嗜好は、40年の歳月を経て少しも変わらない。
とはいえ、ここで言うようなとびきりの塩引き鮭にお目にかかるのは昨今簡単ではない。
スーパーで手に入るのは薄塩、甘塩ばかりで、私などは買ってきた切り身に塩を振ってしばらくおいてから灸る、
なんてことをここ数年実行している。酒と塩分は控えない。それが私のスタイルだ。
まあ、威張ることはないのですが、8年ほど前、取材で塩引き鮭の本場、新潟県村上市を訪ねることになった。
銘酒、「/張り鶴」の上地でもある。
私は飲む気満々で出かけた。そして、新潟駅で在来線特急列車を待つ問に、見つけてしまったのである。
「鮭の酒びたし」。
おお!″酒ぴたり々か。
これは私のための酒肴であると即断、迷わず購入したのであった。
「吉乃川」のカップも購入、窓辺にふたつ並べたら実にいい景色。
と、そのときになって。酒ぴたり々でないことに気づき、少し笑い、
カップの酒にちょいとつけながら口へ運んで大笑いした。
うまい。塩気が強すぎるのではなく、味が深い。
もともと、時間をかけて塩漬け・乾燥させた塩引き鮭を、
さらに半年、日本海の寒風にさらしてスライスしたのだからご言ってみれば旨みの塊。
日本酒との相性はこの上なかった。
そんな逸品も、今では取り寄せ可能である。嬉しいじゃないですか。
これこそ飲み屋要らずの絶品酒肴ですぞ!
おおたけ・さとし 1963年東京生まれ。2002年に酒飲み人生謳歌マガジン
『酒とつまみ』を創刊。夜な夜な酒場へ繰り出し、朝まで酪酎する52歳!
鮭の酒びたし
【ちょっとひと手間】「鮭の酒びたし」は薄く切り難し、お刺身風にお皿に盛り、その上からお酒を少々かける。これに生姜やレモン汁を加えると、ひと味違った風味を楽しめる。また、お酒をかけた鮭を使って、お茶漬や炊込みご飯、素上げ料理にするのも旨い! 他にもパスタやマリネ、サラダなどに加えれば、いつもの料理の味がぐっと奥深くなる。
越後村上うおや
新潟県村上市大町4-3
TEL0254-52-3056