東京新聞 |
飯寿司.jp
年の暮れになると、新潟県村上の「鮭の飯寿司」は、もう漬かったかなあ、と思う。越後村上の鮭は歴史が古く、平安時代にば京都の王朝貴族に献上されていた。 江戸時代には、世界で初めての自然ふ化に成功して、鮭文化とともに栄えた町である。村上に流れる三面川に帰ってくる鮭は、北海道でとれる鮭とは一味違った上等品で、塩引き鮭、鮭のはらこ、鮭のかおり漬け、塩引き鮭をスライスした酒びたし、などの珍味が知られている。 村上のうおやのヤエ子おっかあに会ったのは、もう二十年ぐらい前のことだ。ヤエ子おっかあは、鮭のことならなんでも知っている名人で、ことに、鮭の飯寿司を作らせたら、右に出る人はいない 。 これは村上地方のお正月の味として、古くから親しまれてきた自然食品である。村上でとれた塩引き鮭の切り身、鮭の頭の軟骨(氷頑なます)、カズノコ、大根、ニンジン、はらこ(イクラ)、ユズ、をはなこうじで二十日間ぐらい漬けこんで、発酵させる。はなこうじの甘さが、鮭とカズノコの旨みを包み込んで、それはぜいたくな味である。この飯寿司を肴にして日本酒を飲んでごらんなさい。十二月のうちにお正月がきたみたいで、わくわくしてしまう。 |
鮭の飯寿司
ご紹介ありがとうございました。
越後村上うおやの四旬季 |